<障害いろいろ>

 

 ここでは、色々な障害について、簡略化して説明しています。

 

 

<発達障害について>

 

 DSM-Ⅴという診断分類では、「神経発達症群」に改められた発達障害ですが、これを個性と言ってしまうのは、ちょっと乱暴な話です。

 

 確かに「色んな人が居るものね」と、周囲が理解を持って接するという意味で、個性と表現するのは好ましい傾向だと思われます。しかし、それで本人の生きづらさや周囲の困惑が消えるわけではありません。

 

 つまり、「個性」という響きの良い表現で一括りにし、放っておいても良いものではないのです。

 

 また、「発達障害」と一括りにするのも問題です。

 

 彼ら彼女らには、1人1人の、それこそ「個性=個別性」があります。性格も違えば環境も違います。こだわりの種類や、困っていることも違います。

 

 その個性=個別性もしっかりと考慮/分析し、本人も家族/周囲も専門的サポートを受け、工夫して行くことが重要となります。 

 

 発達障害は、確かに神経学的/生物学的な基盤を持ちますが、しかし、専門的支援によって生きやすくなることも分かっているのです。

 

 しかし、いくら本人が懸命に専門的支援を受けていても、ご家族や周囲からの理解と協力が得られない場合、本人の成長を挫くことになることが少なくありません。

 

 ご家族/周囲にも「当事者である」という認識と、関係性/関わり方の工夫が求められます。

 

 これは発達障害に限ったことではなく、以下の各障害のカウンセリングでも重大な要素になっています。

 

 また、発達障害には二次障害というものがあり、以下に記した各障害が併発することがあります。

 

 

<気分障害について>

 

  気分障害には、大きく分けて「うつ病」と「双極性障害(躁うつ病)」とがあります。

 

 うつ病には、気分変調性障害という、抑うつ度がうつ病よりも軽度なものがあり、躁病には、気分循環性障害という、やはりやや軽度なハイとローがやってくるものがあります。

 

 躁うつ病の場合、うつ状態が長く続き、躁状態になる期間は短いのが一般的です。

 

 うつ病の診断を受けて治療中だが、なかなか治らないという方の中に、躁うつ病の方が隠れていることが少なくありません。これは、ハイ(躁状態)な場合、本人には「気分が良い」「好調」と感じられるため、医師への報告が無かったりするためです。

 

 

<不安障害について>

 

  何かに不安なことが多く、それが社会生活に支障を来している場合に、不安障害と診断されます。PTSD(心的外傷後ストレス障害)やパニック障害もこの中に含まれます。

 

 GAD(全般性不安障害)の方の場合、色々なこと、ほぼ全てのことが不安で不安で仕方ない、といった状態になります。これは過度な心配性として表現されることもあります。

 

 

<依存症について>

 

 依存症には、アルコール/ドラッグ/ギャンブル/ゲーム/対人/性…と、様々に種類があります。

 

 アルコールを例にとると、毎晩飲まないといられず、やめろと言われてやめられない場合は依存とみなせます。

 

 なお、量は関係ありません。おちょこ1杯であろうとも毎晩飲む、飲まずにいられないのであれば、それは依存です。

 

 最近、高機能依存症という考えも出て来ており、社会生活上の問題は少ないものの、しかし、依存は存在する、ということもあるようです。

  

 

<摂食障害について>

 

 摂食障害には、過食症と拒食症があります。これを順繰りに繰り返す場合もあります。

 

 食べ吐きがある場合、指に吐きだこが出来たり、歯が消化液によって溶け、尖っていたりします。食べ吐きは過食症にも拒食症にも見られます。

 

 拒食症の制限型の場合、そもそも食物を摂取しようとしません。または、自分が自分に許した食材(野菜が多い)しか摂取しないといったことがあります。

 

 過食症そのもので死亡することはありませんが(過食に影響される他の疾患で亡くなることはあります)、拒食症の場合、4割の方が亡くなるというデータもあります。

 

 問題は、もちろん食行動異常にもあるのですが、それと同等、それ以上に、自己愛などの問題であることが多いため(痩せていない自分は認められない等)、そちらのケアが要されます。

 

 

<パーソナリティ障害(人格障害)について>

 

 パーソナリティ障害には、統合失調症型/統合失調症質/妄想性(猜疑性)/自己愛性/反社会性/境界性/演技性/回避性/依存性/強迫性とあります。

 

 これらは単一で生じることは少なく、多くの場合で混在しています。

 

 境界性パーソナリティ障害を例にとると、「オールグッド」と「オールバッド」に分裂した(=スプリッティング)思考パターンを持ち、ある人を神のように認知したり、次には悪魔のように認知したりと、コロコロと入れ替わります。

 

 また、周囲を巻き込むことが得意で、誰かを悪者にし、誰かをヒーローにするなどしては場を混乱させたりします。

 

 愛着障害を根底に持つため、見捨てられ不安や試し行為を頻発します。上記の様な困った状態は、見捨てられ不安への防衛とも考えられます。

 

 発達障害の1つであるアスペルガー症候群は、境界性パーソナリティ障害とよく似た状態像を見せます。その他、妄想的にもなりやすい為、統合失調症と誤診されることも少なくありません。

 

 

<統合失調症について>

 

 統合失調症には、緊張型/妄想型/破瓜型/単純型があります。

 

 最近、緊張型は少なくなっていますが、ある不自然な格好でピタリと止まったまま、時には数時間を過ごしたりします(緊張病性混迷)。

 なお、意識はあるため、何かをされればそれは分かっています。

 反対に興奮状態となる場合もあります(緊張病性興奮)。

 

 妄想型はあり得ない妄想を語りますが、知的な衰えは生じません。

 なお、統合失調症の妄想と妄想症の妄想は質的な違いがあります。

 

 破瓜型は再燃すること(1度は消失した症状が再び生じる事)が少なくなく、その度に知的能力が減退します。

 

 単純型は陰性症状(無気力や思考の貧困化など)のみが続きます。

 

 統合失調症は治らないという誤解がいまだにあるのですが、3割の方は完全に元の生活に戻れ、5割の方は服薬をしながら普段の生活を送れる様になります。残り2割の方は入院生活を送ることになります。

 

 しかも、ある発達障害の権威による研究では、その2割の中の6割はアスペルガー症候群の誤診、そして誤った治療により、治らない=退院出来ないだけではないか、と示唆されています。 

  

 その他、多い誤解としては「統合失調症の人は怖い」というイメージがあると思います。しかし、派手な症状(陽性症状)は一過性の物であり、きちんとした治療を受けていれば怖いことはないはずです。

 

 そもそも自分が病気だという自覚が無いから、治療ラインに乗らないというイメージも誤解です。ほとんどの方には病識(病気の自覚)があり、困って病院を訪れます。

 

 周囲が無駄に怖がることは、元来繊細な気質を持つ統合失調症の方への刺激/ストレスになり、再燃の原因を作る為、是非慎重に誤解なく接していただきたく思います。