<療法いろいろ>

 

 心理療法/カウンセリングの技法について簡単に説明しています。

 

 

<精神分析的心理療法>

 

 フロイトによって創始された療法です。

 

 葛藤理論を基にし、その人の中に既にあり、しかし、本人には十分に意識化されていない葛藤や無意識的欲求の理解と、それに伴う症状の減弱を目指します。

 

 そもそもは神経症の治療のために用いられましたが、現在は様々に派生しており、様々な病理や非病理に対応しています。

 

 クラインの対象関係論、コフートの自己心理学、オレンジとストロローの間主観性理論、スターンの乳幼児研究、関係性精神分析と、様々な変容/新理論の構築を遂げています。

 

 精神分析初期を生きたユングも無意識を扱いますが、考えの違いによりフロイトとは袂を分かつことになっており、分析心理学という別分野を構築しています。  

 

 共通するのは、無意識を扱うことで、その人自身に気付かれていないストーリーの分析などを行います。(無意識は、決して本人には自覚されないといわれています)

 

 非常に深い自己理解を得られるため、一般的に、終結までには長い時間を要します。

 

 なお、本来の精神分析は、週に4回以上の来談という規則があります。しかし、この方法を堅持するのは非常に難しく、現代では週に1度の来談という形式がとられています。この方法を「精神分析的心理療法」と呼びます。

  

 

<認知行動療法>

 

  一般的にはベックによって創始された認知療法と、ワトソンやスキナーに代表される行動理論を合わせた治療法とされています。

 

 実際には、その前に既に認知を扱っていたフランクル(ロゴテラピーの創始者。小説「夜と霧」の作者としても有名)や、論理療法のエリスなどの存在も大きいと考えられます。

 

 学習理論を基とし、何らかの問題は、自身/他者/未来に対する誤学習/未学習の結果であると考えます。

 

 精神分析的心理療法のターゲットが無意識であることに比し、認知行動療法のターゲットは意識だと言えます。(実際は無意識にも働きかけは生じます)

 

 特徴として、ケース・フォーミュレーションが挙げられ、「何がどうなってこうなった」といった構造を明確に書き出すということをします。

 

 出来事→自動思考→結果(気分/行動/身体反応)という流れを、書き出すことで目の前に出し、省みてみましょう、といった方法をとります。

 

 よくある誤解に「考え方を無理矢理ポジティブにするだけ」というものがありますが、そうではなく、「現実検討」能力を向上させることを1つの目的としています。

 

 「単に学んでないだけ/誤解してるだけなんだから、適応的/現実的な思考や行動を再学習したら良いじゃない」という、とても前向きな方法論になります。

 

 こちらも様々に進化しており、解決志向短期療法/ACT/マインドフルネス/スキーマ療法/行動活性化療法/弁証法的行動療法などなど、多くの療法が存在します。

 

 また、疾患や障害ごとに最適化され、実証研究を経た、いわゆるエビデンス・ベースドな一定の治療ルートが決まっていることも特徴です。

 

 なお、障害や疾病がなくとも利用出来、様々な応用が利きます。

 

 認知行動療法の場合、扱うターゲットをはっきりとさせ、比較的短期間での終結を目指します。おおよそ10~15回程度での終結となります。

 

 「認知行動療法と精神分析は相いれない」と考える方も少なくないのですが、ベックは「認知療法は精神分析の一方法だ」と述べています。

 

 

<来談者中心療法>

 

  ロジャースによって創始された方法です。

 

 カウンセリングの「ただ聴くだけ」という誤解の基となっている療法だと考えられます。

 

 しかし、そもそもロジャースも共同研究者であるジェンドリンも「ただ聴くだけというのは大きな誤解だ」と語っています。

 

 事実、出版されている彼らの臨床記録を読むと、決して聴いているだけではなく「反射」という呼び方にはなっているものの、精神分析で言う解釈に近いものが含まれています。

 

 そもそもが大学生を対象としたところから発生している方法ですので、特に障害や疾患が無い方、自分で考えをまとめ上げる作業をしたい方には適した方法だと考えられます。

 

 期間を限定する方法ではない為、主訴の解消によって終結となります。

 

 なお、カウンセラーという呼び方をはじめたのは、ロジャースです。当時、セラピストと名乗れるのは医師だけだったため、そのカウンターとして使い出したようです。

 

 また、随分古い言い方ですが、カウンセリングマインドという用語があります。これは、数十年前に日本の教師の間でロジャース派(来談者中心療法)が流行ったことがあり、その際、独自に作られた言葉です。

 

 当時、「カウンセリングマインドがあれば誰にでもカウンセリングは出来る」などとされていたようですが、カウンセリングとは、それほど単純でも容易でもありません。

 

 

 <その他の療法/理論>

 

 人間性心理学/ゲシュタルト心理学/交流分析/トランスパーソナル心理学/ポジティブ心理学/イメージ療法など、非常に多くの理論/方法が存在します。

 

 世界中に400以上の方法論があるとも言われており、日本にはその十分の一程度が入って来ているといわれます。

 

 そして、その様々な理論を組み合わせて使う「統合派」や、様々な技法を組み合わせて使う「折衷派」といったものも存在します。

 

 日本発祥の精神療法としては、森田療法/内観法/動作法などが挙げられます。

 

 森田療法はマインドフルネスとよく似ており、マインドフルネスよりずっと以前に誕生しています。